彼女と部屋
なかがわひろか
初めてこの部屋に来る彼女は
僕の本棚を見て
どんな本を読むのだろうか、と
思うのだろうか
僕の机を見て
何に興味があるのか、と
思うのだろうか
壁に立て掛けているギターを見て
どんな声で歌うのか、と
思うのだろうか
僕の部屋に彼女の香りが入り込んで
僕の鼻腔を妖かし
僕の部屋の壁や床が
彼女の香りに覆われて
彼女が出て行った後も
その匂いが剥がれるまで
僕は一人心揺れるのだろうか
彼女はもうすぐやって来る
何を思っているのだろう
何を思っているのだろう
(「彼女と部屋」)