鴉達の止まり木
智鶴

数年前の夏の暑い日でした
私は確かにこの場所で
眠れない夜を過ごし
眠らない夢を貪っていました
数年前の秋に
私は運命さだめを失いました

世界の闇よりもさらに深い夜が
全てを侵してしまったかのようでした

唯一つ
彼方から煌々と輝く窓が
私を見つけてくれたのです

夕焼け

鴉達は笑っています
空高くから私を、みすぼらしい私を見て
笑っています
包み暖めるもののない
彼らより真っ黒な私を
笑っています

私はその下で
運命を探し続け
未だに見つかりません
もしかしたら
とうに霧散してしまったのかもしれません

それならば
どうか私を
鴉達の止まり木にして欲しいのです

真っ黒な立ち姿は
夕焼けの朱に
よく映えることでしょう



自由詩 鴉達の止まり木 Copyright 智鶴 2007-03-26 22:03:44
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