ふたり
はじめ

 夜はこんなにも静かだ
 僕の知っている人達はみんないない
 もっと言えばこの天球の世界に人間はいない気がする
 宇宙は球体なのだ
 僕は外に出ていつもの草むらで倒れ込んで星を眺める
 プラネタリウムよりも綺麗な夜空だ
 プラネタリウムに入る鍵を持ったまま死んだのは君だ
 だからプラネタリウムの中に入れない
 けどこの夜空が僕の心を清らかにしてくれる
 季節は春 僕はコンパスを取り出して北側に頭を向ける
 北からこぐま座 おおぐま座 うしかい座 しし座 おとめ座だ
 彼らは銀河系全体の平和を詠っている
 時々動いて 死んだ衛星や星などを食べて生きている
 星座を眺めていると自然と涙が出てくる
 熱い涙は 眼球に留まり 僕を起こさせる
 それ以上涙は出てこない もう僕には星座はただの星座にしか見えない
 360度に広がる景色を僕は眺め回してみる
 空気のひんやりとした冷たさが体にちょうど良く感じる
 僕はまた同じ場所で横になる
 星座達が優しく僕を見つめてくれている
 僕はうん と頷いて 手を伸ばし こぐま座を気が済むまで優しく撫でる
 星座は熱を失った
 今夜僕はここで寝ようと思う
 そして君と出逢った頃の夢を見るよ
 木漏れ日が溢れている桜のトンネルの中を二人で手を繋いで駈けていって
 その先にある光の向こうの死んだ後の何も無い世界へと入っていくよ
 二人とも一緒だよ


自由詩 ふたり Copyright はじめ 2007-03-26 05:48:34
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