公園とスニーカーと旅立ちの空
イヴ

前略 手紙は届きましたでしょうか?
お読みになられたなら
そのまま捨ててくださって結構ですので


夢を見ることしか許されない街
標識も消えた交差点
重ならない夜 肩を寄せ合いながら
東京タワーにささった月から眺めたあの景色
ネオンサインにも照らされないほどの僕ら
何時から人混みにもなれたのかな
手がしびれるまでに重くなったバッグ
何を詰め込みすぎたのかな

望むがまま歩んできたはずの未来という幻影
敷きつめたレールが足の踏み場失くして
それを壊すだけの無邪気さをもてない僕は
苦笑いに寄り添ってごまかすしかないんだよ
諦めかけた現在を受け入れられたなら
繋ぎとめた手 放せるのかな

影も追いつけないほど
人混みのなか駆け出して
掌についた古傷なら ほら隠して
肩に掛けたバッグなら もう下ろして
あの日の公園にでも行ってみるかい?
まだどうせそこに居るんだろ
忘れ物を届けに行くよ
少し汚れてしまったけどさ


Ps 手紙はこれで最後にします
   くれぐれもお体にはお気をつけ下さい
                   草々


自由詩 公園とスニーカーと旅立ちの空 Copyright イヴ 2007-03-25 12:02:41
notebook Home