極寒と殺害の恐怖と閉塞した絶望
はじめ

君を信じた瞬間に
 僕は極寒と殺害の恐怖と閉塞した絶望の中へ突き落とされる
 僕は身を縮め吹雪に耐えながら
 誰が来るわけでもないのに襲われる妄想を胸に抱き 狭苦しい空間がぴったりと全身にくっつき 君が誰かのことを好きなのではないかという絶望に悩まされる
 僕はその三つの苦に苦しめられ その果てに楽園が待っている
 僕は君を様々な妄想をくっつけて信じられる 君との楽しい毎日を空想する 君の春の土手にうつ伏せして秘密の内緒をする
 君は春の妖精のように見える 僕は春の妖精と完熟した甘い恋をして桃色の森の切り株の上で愉快なセックスをする
 君はキュートな絹のミニスカートドレスを着ていて 女陰は見えない
 君を信じていられる間はそうだ しかし一度清純な君を疑ってしまうと 春は一瞬にして峻烈な冬へと変わり 吹雪が吹き荒れ 桃色の森はチャコールグレーの森へとなり 極寒に世界は包まれてしまうのだ
 君はあまりの寒さの中 死にそうに横たえている 背中の羽にはもう力が入らなくなり この世界からは脱出できない 僕のせいなのに 君は僕に微かな微笑みをずっと見せている
 僕が君を信じられないからなのに 君に殺害される恐怖を味あわせてしまい この死んだ森に閉じこめて生存の希望を失わせてしまい絶望させる
 もっと君を信じることができれば もっと君を想うことができれば この忌々しい冬を取り除いてまたあのような美しい春を見せてあげることができるのに…
 僕は君を本気で信じられるように君の凍える唇にキスをした 僕は全身が凍ってしまうような激痛を受けた しかし僕は決して唇を外さなかった
 すると強烈な吹雪は止み 雪が解けて 暖かい太陽の日差しが雲間から溢れてきた
 僕は君を信じることができたのだ 君は元気になり 僕達は春色の土手へと駆け出した
 土手には沢山の未来の希望で一杯だった 僕はもう一度君に気が遠くなるぐらいの長いキスをした


自由詩 極寒と殺害の恐怖と閉塞した絶望 Copyright はじめ 2007-03-25 05:46:58
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