キス
ロリータ℃。



あたしたちは
同じ模様を背に宿して
血の繋がらない双子のような
そんな気分で生きていたよね

くすくす笑ったり
さめざめ泣いたり
いつも一緒だったから
身を切るような孤独があっても
あたしはちっともさみしくなかった

あたし達は神に背いた
2匹の動物同士だった
ふしだらに愛しあって
あんたはいつも荒んだ目をしてたね
笑っていてもさみしそうで
崩れそうでも強かったよ


あたしがあの日
あの町を捨てたとき
ただ一度だけあんたは泣いた
水を湛えた目は
柔らかく突き放してるようで
今更なのにあんたは綺麗な孤独の人だと気付いたの


今あんたは
どこにいるの?
その背を撫でる人は
そこにいるの?

ねえ
あたしはとてもさみしくて
今夜だけあの日を探してる
あたしの愛した路地裏はどこ?
こんなに明るい場所は知らない
だけど明日になったらまた元通り



あの日あんたの瞳は澄んでしまって
あたしは途方に暮れながら
許されたことを、悲しんだ





自由詩 キス Copyright ロリータ℃。 2007-03-25 04:14:05
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