春の思い出
なかがわひろか
ぬるい香り
何かを思い出しそうで
その曖昧さに脳が少し離れそうになる
裸足にそっと伝うのは
こっそり夜中に会いに来た
春の温度
脳の裏側をゴシゴシしたら
すーっと剥がれ落ちてきそうな思い出
ぬるい香りの正体は
きっとそこに隠れている
階段を駆け足で下りる
たまらなくなって
また階段を一気に駆け上がる
どれだけ早く走っても
ついてくる、春の匂い
春の匂い
春の匂い
また思い出に
思い出が覆いかぶさる
どこかに
どこかに
春の匂い
春の匂い
(「春の思い出」)
自由詩
春の思い出
Copyright
なかがわひろか
2007-03-25 03:55:44
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