法定速度
ぽえむ君

その道は真直ぐに港へ向かっていた
信号も交差点もなく
対向車線もない一方通行の
横に車一台が走る
天気の良い日は海を片手に見ながら
十数キロにわたる
すがすがしい道路だった
最初の一台目が道路に入る
法定速度は三十キロメートル
用心深いそして規律にはうるさい
ドライバーだった
先頭は法律に従った
その後に大きなトラックが
さらに後ろは家族を載せた乗用車
最近販売された新車などが
どんどん入ってくる
法定速度は三十キロメートル
前にしか進まない道を何十台
何百台近くの車が走ってゆく
それでも先頭は法律に従った
法定速度は三十キロメートル
道路は貨物列車になってゆく
先頭はなぜその速度が最高なのか
その理由は知らない
そこに書かれてある数字を
きちんと守ることが正義だと思っていた
その道はすでに
一台の車も入る余地はなくなっていた
法定速度は三十キロメートル


自由詩 法定速度 Copyright ぽえむ君 2007-03-23 22:22:18
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