冬眠
ロカニクス
押入れの果てから恋人を取り出すと
降り積もらずに溶けた雪の手触りだった
少し寝ぼけてるようなので
縁側に運び春の陽射しを浴びさせる
庭先の木に落ちずに枯れる寸前の椿の花がついている
それより目前でタンポポのつぼみが
早く膨らもうと力んでいる
ここでヒマワリが燃え出すときには
私は飛び立っている
夏がくればまた二人は愛の衣替えをする
いつか椿を一緒に見る日が来ますようにから
いつかヒマワリに会える日が来ますようにへと
北へ飛んでも待っててね
そう呼びかけるとコクンと首が揺れた
自由詩
冬眠
Copyright
ロカニクス
2007-03-23 16:52:18