モーターが鳴る
猫のひたい撫でるたま子


気になる人がいる。

彼に恋をしているわけではない、私の好きな人は常に1人だけだ。彼は私が本気で恋に堕ちたところで、ちゃんと振ってくれもしないような人だ。とんでもなく優しく、そして勝手な人だ。

友人でもなく、恋愛でもなく、同士とも言い切れない。頻繁には会わないのに、事あるごとに私から一方的に個人的なメールを送ってしまう人。

家族、恋人、友人、知人、お客さん、興味深い人、忘れてしまった人・・
自分のカテゴリに分けられないタイプの人に出会うと戸惑う。一瞬恋かと錯覚するが、どうやらそうでもないらしい。私のことが嫌いかと思えば、懇切丁寧に素敵な言葉で返事をくれる。営業なのだろうか。利益を期待するのだろうか。なんなのだろうか。

感情が見えないが、きっと何かで心の中が嵐のようになっているのだと思う。そういう興りのモノを作っている。

自分に近い感覚の人かと思えば、そうではない。つんのめって正直に伝えた私からの言葉は届かなかった。私を認めこそしないが、突き放しもしない。

面倒だからといってさよならでもないらしい。

恋愛でもないなら、さよならする気もさらさらないが、恋愛でないなら無駄に心を裂きたくはないのだが、彼と会うと何か自分の凶暴な感情が顔を出す。それは素直になれるということなのか?

腹が立つし、よくわからないのでもう死んでしまえ!とたまに思うのだが、そうなったらまた遠くまで喪服を着てゆかなくてはならなくなるし、煙が香る。

せめて聞き分けが良ければ、と思う。しかしそうなったらつまらない彼なのだろうと思ったので、もう何もしない様に気をつけることにする。

爆弾のようだ。

何が爆発するのだろう、私だろうか、彼のプライドだろうか。

これも愛なのだろうか。



この場合、レンコンの中身は複雑である。

現代の雰囲気の彼だが、実は仏教思想が強いのではないかと私は思っている。


チューリップは白く白くなってゆく。

どうやら人は愛があれば変わるものらしい。





散文(批評随筆小説等) モーターが鳴る Copyright 猫のひたい撫でるたま子 2007-03-23 10:19:06
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