生れ落ちて
石田 圭太

表と裏は
本当は裏と表かも知れないって話を
当たり前の事だけど


生き物は羽だとか羽根だとか
落としたりはするけどいきなり生えたりはしないって話を
引力に掴まえられて


土に還れるんだよ俺達
唄なら、幾ら束ねても次々に生まれてまた死んで
忘れられた奴は輪廻にもなれずに本当に可哀想で


ねえ
母さん


地球もやり直そうとしているね
不出来な虹のように、でも色なら鮮やかに
また四季をするんだっていう話、聞いた?


聞いてよ、俺達の声を


聞いた?


水の記憶は何億年も昔から続いているって話を
生き物の身体は大体が水で出来ているって話を
だから記憶をするんだよ俺達、生まれ変わるんだよ俺達


巻き込まれているんだよ俺達
始めから大きな事件にさ、それにだって気付きもせずに
小さな事ばかりを気にしてさ、例えば家族の事とかをさ


ねえ
母さん


俺達さ、そろそろ好きな子が出来るんだ
もう胸は痛くてさ、ありがとう
産んでくれて


ねえ
母さん
本当はいつか飛べるのかも知れないんだけどさ、嫌だよ


聞こえた?
ねえ、もう話さないから
もうすこし人間でいたいって話を


自由詩 生れ落ちて Copyright 石田 圭太 2007-03-23 10:15:47
notebook Home 戻る