翼
ふるる
さあ勇気を出して飛んでごらん
怖がらないでいいその腕は翼だ
君は忘れてしまったのだろうが
かつてその両腕を繰って大空を
自由に飛んだじゃないか一緒に
君は何かを振り切るように飛び
何者もその速さに追いつけない
なんていい眺めだっただろうか
君は笑っていた青空を背にして
全てを振り切っていたんだろう
その力強くて大きな優しい翼で
君はもう忘れてしまったんだね
でも耳をすませばまだ聞こえる
空を切った時の風と雲の悲鳴を
顔にかかる雨粒の小さな告白を
両腕の下には風を感じるだろう
涼しいあれが君を高く高く連れ
僕はとても好きだった君の姿が
あれほど自由で優美なものなど
他にないとわかったからいいよ
その思い出だけを胸に僕は眠る
眠る僕を君は思い出すかな翼を
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