隔花
木立 悟
幻の終わりと塩の光を抱き
鳥はひとり 海にたたずむ
波に重なり ゆらめく陰
待つもののない午後の陰
船を終えた船の列が
小さな声に照らされている
空をゆく声 落ちる声
やがて集まり
とどろく声
どこへなりと飛んでいけ
昏い約束の手をひろげ
こうして春ははじまった
途切れた道のかたすみに
響きつづける銀の隔たり
残る陰と残る鳥
塩の光を
幻の終わりを埋め尽くす
散るという名のはばたきを聴く
散るという名のはじまりを聴く
自由詩
隔花
Copyright
木立 悟
2004-04-24 06:55:02