窓辺の花束
もこもこわたあめ
ゆらゆらり
揺れる窓辺の花束にそっと手を伸ばせば
そこにはいつかの誰かの思い出が溢れていて
いつかの涙がかくれんぼ
ゆらゆらり
揺れる少し枝毛の目立つ君の髪にそっと触れただけで
そこには今にも僕の瞳から涙が溢れそうでいて
楽しい笑いあった日々の想いは息を潜めてる
ゆらゆらり
風にかすかに波打つカーテンの向こうに瞳を向ければ
そこには笑顔の月兎が餅つきしている夢が現実と一緒になっていて
静かに寝息を立てる君の夢の中にも涙よりも笑顔がたくさんあるように
僕は外の風の戯れに身をゆだねる
ゆらゆらり
少しの夢の世界から目を開けて戻ってくれば
そこには小さな薄桃色の花びら二片がまるで今この瞬間を待ちわびていて
どこから迷ってきたのか君と僕との手をひとつに繋ぎ合わせるように
二人の手のひらにそっと舞い降りる
ふわふわり
首筋から鼻腔をやわらかにくすぐる君のにおいに振り向いたなら
そこには暖かな花びらのような薄桃色の君の唇が僕のそれに当てられていて
薄桃色の花びらが照れて赤く染まってしまうように
仲良く餅つきする月兎さえもうらやむように
二人を繋ぐ糸が決して切れぬように
かたく手を握り締め窓辺の花束を映す君の瞳に僕の微笑を映してみる