さすらいのネット詩人
はじめ
彼はネットを流離うネット詩人
立ち寄った場所に掲示板があれば 何処とも構わず詩を書き残す
彼の行き先を知る者はいない 当然本人も分からない
気のままに無限のサイトを回り 足跡を残していく
しかしそんな彼にも目標がある
全ての掲示板に自分の詩を載せることだそうだ
自由奔放な彼にそんなことができるだろうか?
誰かに彼の意思を引き継がせないと無理だろう
しかし彼の旅は続く 孤独で後悔が多くて切ないはずなのに
彼は悟りの果てに辿り着く桃源郷(恐らくは最後の掲示板であろう)を夢見ている
そこには彼の尊敬する過去の詩人達が沢山集まっているのだそうだ
そこに辿り着くには彼の人生全てを費やさなければならないだろう
愛する人も作れず 家族も持てず それでも彼は性格上そうしないわけにはいかず そして詩を書く為に生まれてきたのだ
彼のファンは彼が掲示板に詩を残す量が多くなっていくにつれて徐々に増えていった
中にはまだ訪れたことの無い掲示板に先回りして待ち伏せしているファンもいた
彼はネットから離れるといたって普通の人間に変わり 社会に溶け込んでいった
しかし 一旦ネットに入り込むと 彼は人が変わったように気楽でだが慎重な人間になった
彼は活動の幅を広げる為にあらゆる語学の勉強をした
そしてその国の言葉でその国のあらゆる掲示板に詩を残した
彼の噂は日本に留まらず 世界各国で広がっていった
いつしか瞬く間に時は過ぎ 彼は最後の掲示板に辿り着いた
彼は盲目になっていた そこは盲目でも分かるぐらい彼の理想の桃源郷であった
過去の詩人だけでなく 世界中の人々が彼が最後の命を振り絞って点字のキーボードで詩を書くのを待っていた
彼は最後の詩を書き 涙を流し 眠りに就いた