ネット恋愛
はじめ
時空を越えて 君とインターネットで会話をしている
君はまだ死ぬ前で 出逢う前の僕と知らず会話している
君は僕と出逢った時 インターネットの中に好きな人がいるって話していたね
それは僕だったんだね 僕は自分だと知らず深く嫉妬していた
僕は自分の正体を教えることはできない それが神様と結んだ君と話すことができる条件だった
君は僕と逢いたいと言ってきた でも僕はそれを拒否した
君はどうしてと懇願した でも僕は拒絶した
その頃僕も君と僕がやりとりしているサイトを見ていた 僕は僕自身に深い憎しみを持っていた
君はそれから姿を見せなくなった 現実でも君は行方不明になった
昔の僕は君を捜し回った そして君を見つけ関係を結んだ
君は昔の僕を想うようになってサイトに姿を見せなくなった
僕はしかし寂しさを感じた
君は僕と順調な交際を続け 愛し合い続けた
しかしある遠出のデート先で 君は倒れ 病院に運ばれた
余命僅かと診断された 僕は絶望に堕ちた
僕は学校を休んで毎日見舞いに来た しかし君は今の僕に未練が残っていたらしい
君はまたサイトにやって来た 僕と君は寝る間も惜しんで会話し続けた
君は決して逢えないことを悟ったのか 深く絶望していた
僕だって君に逢いに行きたかった 何度も何度もそう書いた しかし事情が事情でありどうすることもできなかった
昔の僕は僕に「殺す」と言ってきた 僕は大粒の涙を流した それでも僕は書き込みを止められなかった 昔の僕に会話を妨害されながら
やがて君との会話は少なくなっていった 昔の僕との面会もできなくなった
僕は君の死の間際 掟を破って自分の正体を明かした
君は最後に僕に「愛している」と言って永遠の眠りに就いた