ひとつ なびく
木立 悟




光を削り描いた花が
手のひらにふたつ影を落とす
鳥の花 音の花
ついばみにくるくちびるの花


砂の花 砂の花
影を持ち去る波の花
手のひらを知らない
問いの残り香


庭と庭のはざま
小さな風
指は少し背伸びをして
花の息と匂いを聴く


抄いつづけるかたちのつらなり
水の輪の花 影の花
光をそそいではくれませんか
咲きたそうな顔をくすぐる












自由詩 ひとつ なびく Copyright 木立 悟 2007-03-21 01:45:37
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