はれときどきみぞれ
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みぞれがぴしゃぴしゃと眼鏡にはりついてくる

3月のそれは忘れてくれといわんばかりに

一刻もたたず跡すら残さないで消えた

植物も物思ことがあるとすれば

この気の早い桜はさぞかし不安だったろう

「咲く時期を間違えたのかしらん」

だんまりを決め込んだ早春の空には

パイプオルガンの音が響き渡り

なにかとの別れとなにかとの出会いを

少し不気味に演出しつづけていた




自由詩 はれときどきみぞれ Copyright 436 2007-03-20 18:26:58
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