あたたかいこと
草野春心



  空は広いとしか言えない
  流れる時間は惜しいとしか
  どっかにあるかもしれない答を
  探そうとして……また、やめにして



  広い空の下で、流れる時間の途中で
  僕は君と歩いて行く
  手を握るでも見つめあうでも
  ないけどそれは温かいこと



  どうでもいいこと、口にして
  君が笑ってそれに返して
  科学なんかより政治なんかより
  そんなやり取りが僕は愛しい



  日が暮れて少し寒くなったら
  手を握るのもいいだろう
  二人だけの夜の底で
  見つめあうのもいいだろう



  当たり前のこと、当たり前のまま
  ずっと続けてゆけたらいいのに
  時々すごく怖くなるから
  知らん顔して抱きあっていたいな



  朝が来て、君は家に帰って
  僕は一人でギターを弾いてる
  心の外で君が暮らしている
  さびしいけれど温かいこと



自由詩 あたたかいこと Copyright 草野春心 2007-03-20 12:45:30
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