ヒーロー
イヴ

僕たちは隙さえあれば
何かしてやろうと思いながら
毎日をコンビニの弁当で過している
たいそうな理念を抱いた五分後には
ビデオの中の女に抱かれている
ニュースが映し出した世界を憎んでは
公園で遊ぶ子供の姿を見て微笑む

誰だって心に潜ませた英雄を
活躍させる舞台を見出せずには
鏡のなかの誰かさんを馬鹿にして
少しすっきりしたはずなのに
また弁当のかすだけが増える毎日
繰り返してる ただ繰り返している

こんな僕らの日常にヒーローはいらない
悪の戦闘員も地球支配を目論む宇宙人も
居ないんだから ただ不恰好な生き物が居るだけ

昔テレビに釘付けで見ていたような
正義の味方になんてもうなれないけれど
今日も僕はバイトに出かけてお金を稼いで
愛する人に美味いもん食わせてやろうと
弁当食べながらまた頑張ってるんだよ

格好良い生き物じゃないけれど
崇高な志なんてないけれど
誰よりも君の裸体が好きで
何よりも君の笑顔が見たくて
そんな卑猥で単純な男だけどさ
それでも必要としてくれる人は居るんだから
もう少しこの退屈な日常を楽しんでみるよ
誰だってヒーロー気取りの戦闘員
僕だって 君だって さぁ胸張って
鏡のなかの英雄よ さぁ胸張って
 




自由詩 ヒーロー Copyright イヴ 2007-03-20 06:27:50
notebook Home