君を失った世界
はじめ
君を失ってしまった
ある日急にいなくなったのだ
警察にも捜索願を出した
けど七年経っても見つからなかった
結局死亡届が出た
僕と君は結婚していた
収入は無くても僕と君は一緒に詩作をしていた
毎日が楽しかった
君が粗末な料理を作る時に必ず僕は横に立ってキスをした
夜はどんなに疲れていても必ずセックスをした
四畳一間の部屋には君の残像が縫いつけられている 日の当たり具合だけはいい
僕は相変わらず詩作を続けている
君に対する想いだけを綴った詩ばっかり書いている
七年経っても君との思い出は全く色褪せていない
RADWIMPSの『ふたりごと』を繰り返し聴いて涙する
君とよく苦しい現実と重ね合わせて聴いたね
外で激しく吹雪いている
スーパーの近くにあるボロ屋
二人で洗面器を抱えて銭湯に行ったね
今はもうその銭湯は潰れて無い
僕はスーパーの社員までになった
一緒に働いていた君のロッカーはまだ残っている
新しくできた銭湯の帰り道 アンダーパスの上で濡れた髪を風に吹かれながらビールを飲む
空には君が描いた星座が浮かんでいる
来年の春 君と僕の詩集を出版する予定だ
桜散る木の下で 君が笑っているのが見える