バス停を通り過ぎて
藤原有絵
真夜中の見知らぬ町を
自転車で走っているのは
即ち、愛に他ならず
思想が違うから
時間をおいた方がいい時もあると思うの
真摯な言葉が
どうぞ真っすぐ届きますように
駆け引きするような
浅はかな関係にはうんざりです
終電の満ちた疲労の臭いも
時代が落とす働き人達の影のある表情も
すべて吸い込んで
それでも君の街へ行きます
君のどんな意地悪にも笑い
最後にも笑っていられるように
私たちは違う人間だから
ケンカだってするし
うまく意思疎通がはかれない時もあるんです
それでいいじゃないですか
君と幸福について
考えていられたら
そのために
私は我侭は言いませんし
君の為に
コーヒーを挽きますし
出来る事なら
何だってしてあげます
それを愛と呼ぶか
私にはまだわかりませんが
真っすぐな言葉だから
どうか邪魔する事無く
真っすぐそのまま
君へ届け
物語のように
美しくなくっても
私たちは
きっと求め合って
出逢ったはずだから
一緒に明日の笑顔について
そっと思いめぐらせましょう