baggage
三架月 眞名子
出合って間もない頃
キミは言った
人が両手で抱えられるものは
とっても限られていて
だからボクは
守りたいものはいつでも守れるように
つねに片手は空けておく
そう言って手を繋いでくれた
あの時の安心感
思い出すだけで視界が霞む
アタシは守られているんだね
だったら何も怖くはないよ
でも時が経って
久しぶりに会ったキミは
両手いっぱいの荷物を抱えて笑ってた
忙しくて大変なんだと
文句を言いながら嬉しそうに笑ってた
そういうことなんだねと
言いたい気持ちを喉に押し込んで
アタシはキミに笑い返した
そうして2人はお別れの挨拶
きっともう手は繋がない
だってアタシも決めたから
自分のために荷物を抱える
両手が宙を漂わないように
温もりを求めないように
自分のことは自分で守る
固い決意を胸に抱いて・・・