輪廻
Rin K

 


 一


日々を連写して
間違い探しをする

遠浅の青に
いつもの魚が溺れている
鱗がまた一枚なくなったこと
それを除けば
昨日と今日の境界線はゆるい

魚は、なくしたものが
何かを知るために
探し物を続けている
そしてまた一枚、鱗をなくす

光沢紙をばらまいて
それを画してしまうような
ヒトの小さな悪戯
          〜波〜


  二


心象の青は、水彩
透過して
さかいめというさかいめを
ぼかしてゆく

あいまいに

薄れてゆくものは
やがて融合、という理由で
そこに在った事実だけが
明るく消されてゆく
          〜青〜


  三


夏の浜辺が熱すぎたことを
朧月夜に思い出した
足跡のないぼくらは、ここで
二度出逢って三度別れた

疑問符のない違和感が
さらさらと北へ
ずれはじめる
          〜砂〜


  四


白い貝殻ばかりを集めるように
散らばった五十音を、てのひらに
ためているうちに
いつの間にか夕凪と
砂を噛んでいた
          〜記憶〜





自由詩 輪廻 Copyright Rin K 2007-03-19 23:35:45
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