「 夜明け 」 
服部 剛

昨日はきみを傷つけたので 
布団にしがみついて
うつ伏せたまま 
闇のなかに沈み 
眠った 


夜が明けて 
目覚めると 
窓枠の外に広がる 
朝焼けの空 
ふわりと浮かぶ 
桃色滲む 
雲の船 


北風に葉の震える木の下で 
母猫が子猫の首を
舐めている 


夜が明ける
無人の景色に
小声で呟く 


「 おはよう 」 


( 眠りに落ちている間  
( 昨日のぼくの苦い顔が描かれた 
( 一枚の紙 
( ひらひらと 
( 闇の底へ  
( 消えた 


昨日傷つけてしまったきみに 
今日会えたら 
言いたい言葉を 
小声で呟く 


「 おはよう 」 





自由詩 「 夜明け 」  Copyright 服部 剛 2007-03-19 17:32:48
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