「 夜明け 」
服部 剛
昨日はきみを傷つけたので
布団にしがみついて
うつ伏せたまま
闇のなかに沈み
眠った
夜が明けて
目覚めると
窓枠の外に広がる
朝焼けの空
ふわりと浮かぶ
桃色滲む
雲の船
北風に葉の震える木の下で
母猫が子猫の首を
舐めている
夜が明ける
無人の景色に
小声で呟く
「 おはよう 」
( 眠りに落ちている間
( 昨日のぼくの苦い顔が描かれた
( 一枚の紙
( ひらひらと
( 闇の底へ
( 消えた
昨日傷つけてしまったきみに
今日会えたら
言いたい言葉を
小声で呟く
「 おはよう 」