吐気
なかがわひろか

魂を食らう胃が荒れる
混ざり合った酸い物が
食道を逆戻る

出てきた魂は
新たな人間を形取る
右目はあの子
左目はあいつ
婆の鼻と
臭い紳士の口
戯言を聞くための醜い両耳

吐き出した魂は
リサイクルされ
また幼き時代を繰り返す

胃が荒れる

胃が荒れる

まだ繰り返すか

まだ繰り返すか

古い部品で
同じ人生を歩む

(「吐気」)



自由詩 吐気 Copyright なかがわひろか 2007-03-19 02:16:47
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