日曜日
水町綜助

青い電球が砂漠に落ちたころ
水筒の中にらくだのチーズができていた
生家の窓の外にはスニーカーが干されている



チーズが波形に切られた

ぼくにも一切れ
ときみは言うが
切り取った端からさらさらとほどけて海水に戻ってしまうので



悪しからず
悪しからずと付け加え筆を置くあなたは
スリランカの小川でルビーをさらって
その赤い色にうかされて家に帰れない



上野では
家に帰りたくない東北の少女がくじらの横に座って肉まんを食べる
つくりものの尾びれが星を弾く



ぼうしの男がビリヤード台に腰を預け何度も小首を傾げている
一、四、七と数字を飛ばしながら穴に落とす
首を傾げている



ビールの栓が開けられ泡が吹き出た
床に弾けた



焼けた夏の路上にビデオカメラを落とした

しばらくテープは回り

路上を写していた

誰かが拾おうと近づいてきたが
車が通りがかり踏みつぶした

のを見てしまった









砂嵐が吹きすさんでいる
濡れてしまったので肌寒く
めとば川に置いてきてしまった黒いジャケットがあればと思う
が、あれは袖が裂かれてしまっていた

ということを思い出した



らくだが鳴いた
温度差が激しい



ぼくはただあるいていきたいのです

とうわごとのように繰り返していた友人が昨年結婚した

清掃工場の煙突から煙が吐き出されて
やはり風に巻かれていた



何回も何回もセックスをしている
まいにち死んでいき
まいにち生まれている
そのために食事をしている
そのために収入を得ているが連なってもその先はしらない



どこまでもぼくが連続するのならそれは地獄にほかならない



刻むような音が好き
代々木公園は嫌い




眠る前に一日が終わりますよとつぶやいてみた




扇風機をしまっていない

また夏を迎えるのか











だれなんだ君は



自由詩 日曜日 Copyright 水町綜助 2007-03-19 01:16:07
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