顕微鏡のリズムで
シリ・カゲル

接眼レンズをのぞきながら
試料を封じたプレパラートに
対物レンズを近づけていって
カバーガラスを割ってしまい
試料をダメにしてしまったことがあるよね

それと同じことを
いまでもついやってしまうんだよ
キミに近づこうとするばかりに
僕のひとりよがりな視点から
良かれと思って伸ばした手や
ふいに投げかけた言葉が
知らず知らずのうちに
こんなにもキミを傷つけていたんだ

何事も手順を間違えちゃいけないんだ
まず限界ギリギリまで
対物レンズをキミに近づけて
その後でいったん大きく深呼吸をして
接眼レンズをゆっくりと調節して
キミに近づいていきたいよ

キミの生命律動は
きっと美しいのだろうな
光の波長と同化して
もう、この世のものとは思えない
ひときわの輝きを放つのだろうな。


自由詩 顕微鏡のリズムで Copyright シリ・カゲル 2007-03-18 22:30:10
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