*青白い街灯の下*
かおる

さくらの便りが届く頃にいつも思う

4月が新年度だからか
裸ん坊だった樹々が
色を着飾っていく時期に呼応するように
春は変化のとき、旅立ちや新しい出会いが

その大事な一歩を踏み出す為に
寒く厳しい冬の間に
じんわりと/急激にでも
まだまだ留まっていたくても
変わる為の用意をしないと

もう二度と戻って来ない今だから
堪能しなきゃもったいないし
目標に向かって突き進まなきゃならない
やり直しはきかなくても挽回はできるはず

(サクラは咲くよ)

手に入らなかった夢を憶い
さめざめと泣き暮らすのは簡単だけど
臆病風に吹かれて縮こもりもせず
また次の夢を追いかけていける柔らかさが
きっと本当のリセットボタン、だから

(潔く散ってもまた咲くよ)

ほんのりと灯るあかりを目指し
急ぐ家路で思い浮かべる色は
暖色系だからか
この頃の街灯はぼんやり橙色

それでも凍てつく冬の夜に
進むべき道に躊躇し
いつの間にか
その目指していたはずの道から
弾き飛ばされ
とぼとぼ歩き始めた道を照らす灯りは
青白く光っていたに違いない


自由詩 *青白い街灯の下* Copyright かおる 2007-03-17 21:19:21
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