借金返済
ぽえむ君

彼は莫大な借金をした
その時の彼は若かった
生活に困っての借金ではなかった
きちんと働いていて
収入はむしろ安定していた
それでも彼は借金をした
彼は将来への確実に
不安を抱いていた
だから彼は借金をした
そのお金は全て
自分に使うのではなく
その街に寄付した
彼に残ったものは何もなかった
あるのは多額の借金証書だった
彼は毎月働いては少しずつ返済した
思わぬ出費で生活を脅かされることもあった
それでも彼は工面して返済した
借金の返済は彼の人生の一部分になった
寂しい気持ちもあったが
何も変化のない人生よりも充実していた
何よりも返済は街に寄付した証でもあった
生活に苦しくなった時
耳にする音楽は勇気を与え
絵画は心を和らげ
文学に涙を流せるようになった
それはまさに人生の返済でもあった


自由詩 借金返済 Copyright ぽえむ君 2007-03-17 21:10:54
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