夢と幻は永遠の無限 妄想の遺書に うなされる月/八十作品
板谷みきょう
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文字にできないもどかしさ 憂鬱を想う獣
不純な溜息の遥か彼方 もつれた風に空を踏む
「さよなら」を言う天邪鬼 くちびるに接吻を
泣く位なら別れない 大人の恋の低温火傷
欲しい 欲しいと願う想いは 切なく虚し
土くれに宿る息吹深く 魚になって繋がり往く
何故いつも儚く始る 綿菓子のちりばめらて
許し乞いつつ滑り込む 舌のぬめりの愛しさに
臆病を絡め 月日が過ぎた 孤独のくちづけ
降って来た空から 命の欠片 一滴の呟き
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蝕まれながら ずっと有り得ない偶然を待つ
ずっとずぅっと切なげに響く 雨に言葉の そぼ濡れて
海のように見える空の彼方に 海のない土地
偽りの糸 解いて結んで 赤く染まる嘘
おずおずと夢を届けて 知る由のない夜に蠢く
満月の感触 優しい光に 背を向けし独り
傷付いた背中の翼 夢ばかりを空に雨
待ちきれずに生きつく 受けて亡くした夢
闇に紛れて さまよう心を 慰めて
翻弄に揺れる木の葉 夢見続けて溺れゆく
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危険な夜に頷く 君に似合いな 満天の星
いつか きっと 必ず どこかで…
苦しいほど愛しい 久し振りは青臭いトマト
ポケットの 思い出にしがみついて 君の結び目
ぽとぽと触れる 物思う屋根の 溢れ続ける雨音
逃げ水を 追いかけながら流れ雲 一輪飾る
夏に降る雪 ゆめうつつ 闇夜の並木
月夜の海にさりさりと 愛してしまいました
口寂し寄り道 未来は銀色に濡れて染まる
唇が触れる直前の彷徨 数え切れない 想いの数だけ
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思い出の中で生きている 少女に微かな恋
ふと吐いた雨夜の溜息 危険な呟き 聞こゆる
夢を削って 染めたような橙色か 紅い月
冷たい光ざわめき ダメになりそうな 迷路の愛
想いに更ける孤独な慟哭 闇夜の満月
曇天の空に 熱い心伸びて咲く リラ色の風
幸せを呼ぶ 闇に猫消えいく 華奢な身体
センチに読み返して 幾度も泣いた
想うだけでも切なく軋む 不純になってしまう恋
手を振って別れた後に 後悔だけが残る
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溶けて混じり合えない 身体 持て余し
揺れる木の葉 見続けて 炎天下
一つになれないからこそ 強く結ぶ不思議
頭痛を沈める 細かな息遣い 雨の昏れ
リンゴ飴 透明なたましいたちの扉を
寄り道しながら 花を摘む 鼓動
僕を捉えて離さない君を探し漂流する
いやぁぁん にゃぁぁん 猫みたいな君
学習できない 煩わしい五月蝿の誤解
伝え切れない 爽やかな風すべて叶う日
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息苦しいほどの暗い空 星が瞬いて
黄昏の果てで 重ねられる永遠ならば
過去を知ってる ソーダ水の泡の粒
少年のようには もう語れない 愚かに躊躇う
想いのしずく 想いたくして指先に蜻蛉
自惚れバカでも うまくいかないもの
秘めた想い出は 何になるのだろう
想いに消されぬように透き通っていくよ
泣きながら褪せゆく想い 笑いながら星を見て
人は人との関係を どうして求めてしまうの
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失敗を繰り返した 太陽の熱 悲しい性よ
さっきまで絡まっていた 指先の恋愛
歌いながら 書きながら 月を見て
笑顔は今でも 脳裏に焼きついている
一枚ずつ剥がれ落ちる夢の中でも ひとり誓う
しんみり辛く哀しく ちょっと切ない
宵闇に紛れ空に消えゆく 淡色の偽らざる鴉
おしゃべりが 喋れなくなって果てしない
月淡く照らす 冷えた昔に書いた詩を摘む
ひっそりと風の音聞く 木漏れ日のまだら模様
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夢うつつに耳をくすぐる 替わりに延ばした手の挨拶
結び合うために秋茜 海を見ている
ぬくもりが恋しい瞳 蝶つがいの長い呻き声
透明な言葉は溶け 繰り返される 愛の言葉
夢ばかりを空に描く 傷付いた背中の翼
現在に 柔らかな風 懐かしい草の感触
嫌われた訳もなく 深淵の闇に青白く
はみ出した訳もなく細い月 心象の海鴎
透き通っていく波音 伸びる影ひきずる浜辺
臆病になった冷たい珈琲 恥じたままで氷の思惑
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一行詩