眉毛から思い出す或る情景
はじめ

 鏡で右眉を見るとある情景を思い出す
 それは小学校の近くにあるセブンイレブンだ
 町は密封されていて しんとしていて 根雪が積もっている
 正月だからだ
 僕は行く当ても無いまま町から町へと彷徨う
 黒い空がフラミンゴパラダイス?を濡らし 空気の冷たさが肌を刺す
 僕は境界線を渡る
 闇が暖かい
 鉄柵と煉瓦に囲まれた自衛隊駐屯地を過ぎると 僕は都会に出る
 橙色の灯りが世界を照らす
 僕は心が暖かくなって歩き続ける
 僕は瞳の奥に宿した熱で眼球の表面を暖めて何を見つめるのだろう
 景色が溶けていく
 その先にあるのは冷たい 心を閉ざす しかし好奇心をそそる闇だけだ
 僕には二次元的な闇が広がっているように見えるだけだ
 僕の心をスガイのカラオケ屋が呼んでいる
 でも僕は闇を進んでいく
 スガイディノスの外観と闇の混ざった情景が僕の視界に映る
 僕はてっぺんに辿り着く
 何が見えるだろう
 星かと思っていた低い位置に輝いていたのが飛行機だった
 星が見えている
 それだけで僕はその星と繋がっているように思える
 その星に乗り 無限の宇宙を旅する
 その果てには何があるのだろう
 僕は想像して鏡台の電気を消す


自由詩 眉毛から思い出す或る情景 Copyright はじめ 2007-03-17 05:34:38
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