旅する歯車
ぽえむ君

歯車は旅に出た
今まで一緒に回っていた他の歯車と
どこかかみ合わなかった
自分の歯数を嘆いたり
他の歯車の歯数を責めたりもした
それでもやはりその場にいづらくなって
人知れず早朝に旅立った
どこに行くわけでもない
自分に似合う歯数をした歯車に
出会おうとするわけでもない
ひょっとしたら一人だけで
回ってみたかったのかもしれない
行き当たりで乗った電車の車輪は
とても滑らかだった
世の中には歯数がなくても
立派に役立つものがあることを知った
歯数が多い自分にとっては
それはギザギザと心に刻まれた
歯車はしばらくの間
その車輪の動く音を聞きながら
窓の外の流れゆく風景を眺めていた


自由詩 旅する歯車 Copyright ぽえむ君 2007-03-16 22:04:38
notebook Home