ちいさなしあわせ
小原あき
さっきまで見えていた晴れが
今ではすっかりどんよりです
雲はお日さまをひとり占めして
わたしの気分は最低です
犬はいつだって健気にこちらを見て
わたしたちが振り向くのを
ドキドキわくわくさせた胸を持って
いつまでもしっぽを振って待っています
わたしはそんな風にはできません
どちらかと言えば
いじわるな雲です
お日さまをひとり占めして
いつもあったかくありたいのです
犬に聞いてみたのです
きみはどうしてそんなにも健気なのか、と
犬は答えたのです
うしろすがたは さみしいけれど
いつかは きっと
しんじていれば
あったかい えがおが まっているんだ
どんよりした雲は
またすこしだけお日さまを見せてくれました
そんなことが
幸せなのです