最後の日に
山中 烏流
一日だけ、と言って
黒板と呼ばれた
緑色の物体は
たくさんの文字で、化粧
昨日の涙は、嘘じゃ
嘘なんかじゃ
なかったんだよね?
第2ボタンが
ぷらぷらと、揺れる。
空をきった手の平には
もう、返る声はなくて
言い忘れた言葉たちが
空間に、反射する
さよならを、忘れたのは
また会いたいから
会えるから、だよね?
ダンディーな空は
全部、見て見ぬフリ。
きいこきいこ鳴く
ブランコに身体を預ける
代わりに、泣いて
くれていて欲しかった
涙が出なかったのは
寂しくも、悲しくなかった訳でもない
辛かったからだよね?
遠く離れた砂地に
一粒、ぽたりと落ちた。