高層マンション
ぽえむ君

ぼくらの夢が一つ消えていった
ずっと空き地だった場所に
高層マンションが建つらしい
みんなでゲームをしたり
自転車で走り回ったり
喧嘩になったりもしたけれど
いつも気軽にみんなが集まって
言いたいことややりたいこと
悩んでいることも話せる場所だった
当たり前のような空き地だけど
ぼくたちの夢の場所でもあった
今は高い鉄板で周りを囲まれて
入口だったところに
立ち入り禁止の大きな看板がある
高層マンションの下では遊べない
ぼくたちの方が先に来て
ぼくたちの方が先にいて
ぼくたちの方がこの場所を
よく知っているというのに
高層マンションは何も知らない

次の日から
学校では新しい遊び場を探す話で
みんなで盛り上がっていた
すると友だちの一人がやってきて
あの空き地から遺跡が発掘されたという
工事は中断
遺跡は当時としては大きな集落で
今で言う高層マンションだったらしい
ということはぼくらは
高層マンションの上で遊んでいたのだ
彼らの方が先に来て
彼らの方が先にいて
彼らの方があの場所を
よく知っていた
ぼくらは何も知らない
けれども
ぼくらの夢が一つ生まれた


自由詩 高層マンション Copyright ぽえむ君 2007-03-15 13:15:10
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