砂の城
智鶴

沈んでしまった
沈んでしまったんだよ

波は驚くほど冷たくて
足はガラスの欠片か何かで深く傷ついて
白いワンピース
ガラスの欠片
そのシルエット
日は音も無く哀しい程静かに

沈んでしまったんだ
沈んでしまったんだ

きっと僕等
何かを知るには若過ぎたし
何かを忘れるには大人過ぎた

確か、何かにひどく怯えていたね
その華奢な肩を震わせて
揺らいだ日々が壊れていくのを
知っていたんだろう?
息が詰まりそうになるのを
堪えていたんだろう?
その背中で、ほら

沈んで

「ぼくら、もうもどれないんだよ
ゆるされてしまうんだよ」
そんな知り尽くした言葉を握りつぶした
握りつぶした

砂浜の城で影を消して
そして

沈んでしまった
沈んでしまったんだよ


自由詩 砂の城 Copyright 智鶴 2007-03-15 00:44:24
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