フリーズ

誰かの掌から滑り落ちたゴムホースの水が、誰かの足元の
地面のうえで、いつまでも意味もなくぐるぐるループしているよ

足元の芝生のうえで、いつまでも誰かの想い出の芝生のうえで、
ゴムホースの水は意味もなくぐるぐるループしていたよ


その瞬間にフリーズした時間軸は、
想い出の芝生のうえで、いつまでも想い出の誰かの足元の後ろで
鮮やかなアーチを描き続けながら、意味もなくぐるぐるループしているよ

芝生のうえにいる、想い出の誰かの黄昏の青空を、鮮やかなアー
チ型に切り取り続けながら いつまでもぐるぐるループしていたよ、
誰かの掌から滑り落ちた時間軸は、の地面の足元のうえで、 どこまでも――






フリーズしたその瞬間に、
砕け散って、地面に落ちた赤い花びらは、まだ生きていたよ

その空間に充満した
甘い蜜の匂いに誘われて、蝶の影がゆらゆら飛んできたよ

花びらに固く氷結した
震えるしずくのなかを、太陽光線が赤くくぐり抜けていったよ


胸の奥を探してみても
悲しみしか見つからなかったよ

どれだけ胸の奥を探してみても、悲しみが見つからなかったよ


自由詩 フリーズ Copyright  2007-03-14 18:59:03
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