古雨
如仁


 僕は六世紀に及ぶしみったれた腸壁に包まれている。
 でたらめに女の子の名を呼ぶよ。誓言のように、エリー・エリー・エリー。

 何故雨は降らない? 僕は足運びの練習を繰り返す。
 レッスン1.針の穴の通し方。別れ際に頬を叩かれる方法。

 救われるように。森の奥では時間が止まっている。産まれたての
 葉の群がる上層で、全て雨は溜め込まれている。生、態。単純世界。

 ネアンデルタールじゃないとか、どうでも良いことじゃないのかな?
 小動物の言葉。森の中心では口を開けたライオンとか人間とか宿無しの蛾とか。

 僕の層。限界まで圧縮されて、琥珀のように、向こう側が透けるよ、エ・エ・エリー。


自由詩 古雨 Copyright 如仁 2007-03-14 17:12:43
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