古雨
如仁
僕は六世紀に及ぶしみったれた腸壁に包まれている。
でたらめに女の子の名を呼ぶよ。誓言のように、エリー・エリー・エリー。
何故雨は降らない? 僕は足運びの練習を繰り返す。
レッスン1.針の穴の通し方。別れ際に頬を叩かれる方法。
救われるように。森の奥では時間が止まっている。産まれたての
葉の群がる上層で、全て雨は溜め込まれている。生、態。単純世界。
ネアンデルタールじゃないとか、どうでも良いことじゃないのかな?
小動物の言葉。森の中心では口を開けたライオンとか人間とか宿無しの蛾とか。
僕の層。限界まで圧縮されて、琥珀のように、向こう側が透けるよ、エ・エ・エリー。