好きなんだなんて言ったとしても
きっと君には伝わらないんだ
にこにこしながら繋いでくれる
この手を君に放されるのは
できれば勘弁願いたい
だから言わない　言わないよ

「うずらの卵が食べたいな」
そう呟いた午前３時
おいおいもう店は開いていないよ
「この間コンビニに売ってるの見た」
今から買いに行くってこと？
相変わらずにこにこ笑って
手を引っ張られながら買いに行った

残業帰りのサラリーマンも
ちらちら見てくる中学生も
笑いながら渡る僕らが
まだそんな関係じゃないなんて
まさか思ってはいないだろう
なぁ　左手に残るこの温度は
ひとりになった時どうやって確かめればいい？

好きなんだなんて言ったとしても
きっと君には伝わらないんだ
にこにこしながら繋いでくれる
この手は僕から放すべきかい？
できれば勘弁願いたい
だから言わない　言えないよ

擦れ違う恋人同士も
年配の仲良し夫婦も
スーパーの袋を分けて持ってる僕らが
まだそんな関係じゃないなんて
まさか思っていないだろう
左手をぎゅっと握る君だって
そんなこと思っていないんだろう

気がつけば君がいたんだ
ずぶぬれで玄関に立ってた
君のこころは僕と出会って
少しでも癒されたのかな
僕の傷口が広がる分だけ
癒されていると良いのだけれど

好きなんだなんて言ったとしても
きっと君には伝わらないんだ
そう僕が思うだけかな
そっと君を見てみれば
小首をかしげてにこにこしてる
なぁ僕の話を聞いてくれるかい？
その後また繋いでくれるかい？
もうこんな苦しい思いをするのは
二度と勘弁願いたい

だから言うよ　伝えてみせるよ
そうだな
長雨が止んだから
今日この足で会いに行こう
そして　僕の話を聞いてくれ