星空の帰り道
黒子 恭
星達が朝に帰っていく。
置いてきた温もりが微かに顔を出したように、輝いた
気がした。
星達が朝に帰っていった。
人々は狙いすましたように、朝日を追い抜いて、電車に乗る。彼等がまるでいなかったかのように。
誰もさよならは言わない。
分かってる。
分かってるんだ。
また会えることくらい。
星空の帰り道。一人、それを見ている。
手を振った先には、もう彼等は居なくて、朝日が代わりに、お早うを持ってきた。
人々は狙いすましたように、電車に乗る。
僕も狙いすましたように、朝を、自覚する。