消化
蒼木りん

結んでいた髪をほどくと
さらさらとこぼれて裸の腕を包む
冷たくなった首筋も温かい
今日はもう
立っている必要はないから
膝を抱えて
うなだれて目を閉じた
温かさは
これくらいでちょうどいい
いまは
他人の温もりは要らない
寂しさもこの程度の味付けで
ちょうどいい
情けない気分と
涙の味に似たコーヒーでも啜り
ただ
明日のことは
まだ考えたくないから
もう少しだけ
眠りの国へは
つれていかないで
傷つかないふりや
騙しながら生きているのに
少し疲れているだけだし
解っている
そんなことは誰にも打ち明けない
夜の闇のポケットに
今日も
出さない手紙をそっと仕舞い込み
結局
明るい太陽の下では
ひとりぼっちでは生きていけないんだと
また
そこにたどりつくから




自由詩 消化 Copyright 蒼木りん 2004-04-21 22:20:53
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