夏日の口笛
バンブーブンバ

ナット・キング・コールは
ダーリン、ダーリン。


夏日の残り香
オイスター
お蔭様で
フライパンはいびつだけれど
洗ってやらない
換気扇もつけない
オイスターは天にのぼる
右のこめかみから一筋
スナップ、スナップ
いつのまに
スナップなくても
ひっくり返って
止まらなくなる


ナット・キング・コールは
ダーリン、ダーリン。


ワンルームだって
フライパン
灼熱になって
ペパーや
バルサミコまみれに
みんなみんな
ひっくり返って
綯い交ぜの夜はやってくる
界壁から
愛の吐露の
透過損失
まったくどこもかしこも
対数関数の夏日
あの人も
夏日だろうか

曇り始めた網入りガラスの隙間
白ぼけた蛾は休んでる
声にもならない声の
かすかな唇が生んでしまった渦に
羽が小さくはためいてる
木造アパートの格子窓
煙にまみれた


ナット・キング・コールは
ダーリン、ダーリン。






自由詩 夏日の口笛 Copyright バンブーブンバ 2004-04-21 21:04:29
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