蝉時雨
夕凪ここあ

おとといの
夕暮れかけた空
君は
夏の底に
沈殿していったきり
西の夕焼けが
音をたてて色あせていく
手のひらの温度を確かめたくて
軽く握ってみても
汗ばんだ夏の終わり
いつだって
泣きたいときには
零れる蝉時雨
君の温度と私の体温の
哀しい差分が
夏の底
淡い陽炎になって
届かない場所まで
沈殿していったきり
音沙汰ないまま
終わる夏の日には
決まって
やさしいひぐらし


自由詩 蝉時雨 Copyright 夕凪ここあ 2007-03-13 22:06:24
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