京都市動物園
すなめり
ブリキのおもちゃのような観覧車には
昭和の絵本の動物たち。
ぼくたちは運よくパンダの箱に乗ることができた。
小学生の頃亡くなったきみのお母さんが下にいて
きみの左手はぼくの手を握り
ぼくの見えない右の手でお母さんに手を振っていたと
小さなカフェで きみは語ってくれた。
その店の特製のアップルタルトはふたりに一個の決まり。
それをフォークでぱりぱりとふたつに割りながら
きみは得意な顔していった、
「お母さん、あのサルの顔すごかったなあっていったんで、
わたし、あれがマンドリルなんやって教えてやった」
その日 ぼくたちの見たマンドリルの顔は
虹色に輝いていた。