深奥の桔梗
はじめ
全身包帯姿の艶やかな君の 心の願いが叶う歌に耳を澄ませるよ
痛々しい 螺旋状に薔薇が巻き付いているようだ
大地の強靱な風が清め対となって上空へ舞い上がる
橄欖色の草原で耳許に髪をかき上げながら立ち尽くしている
何を待っている? 何を見つめている?
傍に近づいてもう帰宅する時間だと言う
薬の匂いが頭を煙で満たしたような感覚に陥らせる
小さくコクリと頷き か細い手を繋いで家路に着く
禁じられた関係を隠して医務室で服を脱がせ三日に一度の包帯を解く
全身がケロイドで菫色に変色し火傷の跡が見るも無惨だ
もう一年になるか
この屋敷に火を放ち焼身自殺を図ってから
ガブリエルに奇跡的に助けられたが昏睡状態で一ヶ月生死を彷徨った
医者である僕も何度も諦めた程である
意識が戻ったが高熱に魘されて看病する側も絶望的であった
精密な診断の結果 皮膚が再生する可能性はゼロパーセントだった
精神がパニックに陥り 取り乱して泣き崩れ 再び自殺しようとした
その時から真摯な愛を感じ 自分の身分を呪った
裸を見せたせいか膿の溜まっているヴァギナが濡れている
体液を太股まで伸ばし白濁に光る筋を眺める
強く抱きしめる 涙を流し耳元で可憐な呻き声を上げる
互いの唇を合わせた
誰かがドアをノックする 慌てて体を離す
胸と陰唇を隠し 治療を再び始める
一挙一動に想いが詰まっている
夕日が照らし桔梗色に輝いている