少年兵たち
三条麗菜

もはやこの世界は荒廃していて
私だけが正しいのだと
私が世界を正しく導くのだと
そんな狂い方をして
私は少年兵団を結成します

何百人もの美しい少年たちを
戦場に向かって行進させます
赤や橙
黄色そして白い花の花束を
その細い腕に抱きかかえて

武器を持たない少年たちだから
誰一人撃たれません
でも少年たちは
花束で襲いかかるのです
花束で戦車や大砲を
武器を持つ兵士たちを
力の限り殴打して
砕けた花びらにまみれさせます

濃い霧のように
むせかえる花の香りが
戦場いっぱいに満たされるまで

やがて夜が来て
深い夜空にうち震える弦のような
か細い月がかかる時
一面に散った花びらの破片と
その残り香の中で
少年たちが愛し合います
生まれたままの姿となって

むさぼり合い
我を忘れ
ただ愛し合う
白い肌は
指先のように絡み合い
そしてそこからは
誰一人も生まれない
誰一人も生まれない
誰一人も生まれないから
もうこれ以上戦う人間は
地上には増えないのです

花束を抱いた少年たちが
この地球上で
最後に戦う者となるのです
偉大なる創造者よ
人類の歴史はこのように
終わっていきます

今日も少年兵たちが
鮮やかな花束を抱きかかえ
胸を張って行進します
世界中であらゆる戦いを
終わらせるために



自由詩 少年兵たち Copyright 三条麗菜 2007-03-12 22:27:58
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