ぼくの前のぼく
ぽえむ君

ぼくの前にぼくが歩いている
ぼくの前のぼくはぼくに気がつかない
ひたすら前を向いて歩いている
声をかけようかと迷ったけれど
なぜか怖くなって
そのまま後ろを歩いた
ぼくの前のぼくは転がっていた空き缶を
思いっきり蹴った
ぼくの後ろにいるぼくなら
決してしないというのに
どうしてそんなことをするのだろう
ぼくの前はぼくなのだから
話しかけてみようと決心した
ぼくの前のぼくは急に立ち止まった
沈みかけている真っ赤な夕陽に
涙を流しているようだ
ぼくの前はぼくなのだから
顔が見えなくともわかる
ぼくの後ろにいるぼくなら
決してしないというのに


自由詩 ぼくの前のぼく Copyright ぽえむ君 2007-03-12 22:09:21
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