マーブルが、消える
A道化




朝の窓へ起き上がればいつも
眠りと夢の、仄明るいマーブルが
窓形の光に飲み込まれて、消える
その途端、光の中を雨のように下降する黒髪と
閉じたまま濡れてゆく傘の内側のように黙った胸は
言葉を失うことで、そっと、救われている
もっともっと失うことで、そっと、朝に馴染んでいる
ほら、朝だよ
生まれたての振りをして、眼球が
体のぬくさひとつだけを世界に置いている
ああ、朝だよ
それだけの理由で、泣こう


それだけの理由で
眠りと夢の仄明るいマーブルが
窓形の光に飲み込まれて、消える


2007.3.11.


自由詩 マーブルが、消える Copyright A道化 2007-03-12 08:55:10
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