白髪を掻いて
水在らあらあ





白髪を掻いて
新聞を読んでいる
あなたは
岩だ

猫を
下手くそに撫でる
次郎丸は
僕が名づけた

うちで生まれた猫たち 三匹
母親にとって
あんなに大切だったのは
少しは 少しだけは
あなたのせい

タバコの脂で 愛情も指先で詰まって
うまく出てこないんだね
猫は逃げて
あなたはまたすこし寂しくなって
白髪を掻く

夜霧が満ちて
あなたのハイライトの煙と
猫の爪とぎ
僕の傷口

愛していたとしたら
それはいつのことだろう
僕がおかっぱ頭させられてた頃か
レゴブロックで遊んでいた頃か

今日 作業中に石で手を潰したよ
コブシの肉を持ってかれたよ
今年はこっちも暖冬だけど
やっぱり 冬は 腰が痛いよ

あなたが一度遊びに来てくれたときに
船に乗せたね
海は少しだけ荒れてて
あなたはそれでも
子供みたいに
おどろいて はしゃいで

俺はこっちで
男達は力持ちで
女達が優しい国で
元気にしてるよ
あなたは日本で
時代にはじかれて
あなた達が作った時代に
はじかれて

帆柱に停まって風を見つめるカモメの心を
あなたに送るよ
どこにでも行けばいい
高いところに登って
世界を見てみればいい
あなたが一度愛した人を
その広い風景の真ん中に置いて
見直してみればいい

俺はもう言えるよ もう怖くないから あなたのことが

あなたが一度愛した世界を 人を 見直してみればいい

そしてあなたが誰であるのかを 空に 海に
問えばいい
問えばいい
叫んで
叫んで
叫んで
そして






あなたの白髪頭を
愛するとしたら
いつになるのだろう
あなたがいつかもう一度遊んでくれたら
一緒にお絵かきしてくれたら
プロレスごっこしてくれたら
キャッチボールしてくれたら

一緒に海を見て
海に出て
海を 一緒に

泣いてくれたら













自由詩 白髪を掻いて Copyright 水在らあらあ 2007-03-12 07:03:03縦
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